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旦那の心

旦那の心とは

旦那の語源は、サンスクリット語のダーナ。もともとは「与える」「贈る」の意味で、そこから、寺や僧に布施する「檀家」や、商人、妻などにお金を与える「旦那(パトロン)」へ派生したといわれます。コーナータイトルである「旦那の心」とは、山口さんが生前に介護者や医療者の「見返りをもとめない奉仕の心」を表した言葉として言われていたものです。

また、このコーナーは実話に基づいて制作しております。事例は大林先生にご紹介いただき、ご家族のご理解をいただいたうえで実現しております。

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第8回(最終回) 山口さんが遺してくれたもの。

食事を楽しむ山口さん

山口さんは、数ヶ月間、口から食べることを楽しむことができました。しかし、激しい呼吸困難を引き起こす気胸という病気を発症。病院に入院し、口からの食事を断念せざるを得ませんでした。入院中、少しでも体調がよければ口腔ケアを希望しましたが、最期は、スポンジブラシで清掃するのがやっとの事。2006年5月、山口さんは息を引き取りました。

研究会の一員として、一患者として、山口さんは様々なことを教えてくれました。それは、本人やご家族が本当に望んでいることを周りのスタッフが十二分に聞くべきであること。更には、患者一人ひとりの置かれた状況をしっかり把握したうえでケアプランを立て、多職種連携(様々な職種の人が協力)でサポートしていくこと、その二点に尽きます。

「追悼勉強会」の様子

“NPOむなかた介護サービス研究会”の活動は、様々な方面へ多大な影響を与えています。大林先生の知人で、ある放送局の人は、山口さんの口腔ケアを記録したDVDを制作しました。そのDVDを使用して、ある大学の社会学の教授は高齢者の問題に関するテレビ講義を行いました。また、口の重要性に気づいた内科の医師は、患者さんに口の体操を奨励し始めました。そのほか、食に関する連載記事を書いていた新聞記者は、大林先生と知り合ってから口の重要性に目覚め、独自の展開を試みています。

山口さんは、自分を取り巻く医療・福祉関係者たちに、患者の立場からの介護や口腔ケアについて、ときに厳しく、ときに自分を実験台としてアドバイスを行ってきました。その遺志は、様々な人々へ確実に受け継がれており、社会的な事象として拡がりを見せています。 ─── 了