口腔ケアの目的

口腔ケアには次のような目的があります。

  1. 虫歯・歯周病の予防
  2. 口臭の予防
  3. 味覚の改善
  4. 誤嚥性肺炎の予防
  5. 口腔機能の維持・回復につながる

参考:(財)8020推進財団調査 歯とお口の健康小冊子 はじめよう口腔ケア

1. 虫歯・歯周病の予防

虫歯と歯周病は、歯を喪失する大きな原因となっています。※1
平成26年度の厚生労働省の患者調査の概況によると、虫歯の患者数は184万6,000人で、心疾患(悪性新生物や高血圧性を除く)とほぼ同じです。また、歯周病については331万5,000人で、糖尿病とほぼ同じです。虫歯と歯周病は、私たちにとって身近な疾患であり、心疾患や糖尿病といった生活習慣病と同じくらいの患者数になっています。※2
虫歯、歯周病はどちらも口腔内細菌が原因で引き起こされます。口腔ケアにより口腔内環境を清潔に保ち、しっかりと予防することが重要です。 参考:
※1 (財)8020推進財団調査 永久歯の抜歯原因調査報告書 図21.抜歯の主原因(全体)
※2 厚生労働省:平成26年(2014)患者調査の概況. 主な傷病の総患者数

抜歯の主原因(全体)抜歯の主原因(全体)※1

2. 口臭の予防

口臭の主な原因物質は、揮発性硫黄化合物である硫化水素(卵の腐敗臭)、メチルメルカプタン(野菜や魚の腐敗臭)、ジメチルサルファイド(生ごみ臭)の3つの臭気物質です。これらは、はがれた口腔粘膜上皮や食物残渣などのタンパク質が嫌気性の口腔内細菌によって分解されることにより産生されます。※3 虫歯や歯周病に侵されている歯肉組織、舌苔(舌の表面に付着した白い苔のようなもの)が主な産生部位だと考えられています。※4
口臭の発生原因を把握し、舌苔由来の口臭は舌苔の除去、歯周病由来の口臭は歯周病の治療をしっかりと行うことが大切です。参考:
※3 川口陽子,臨床と研究・91巻10号(平成26年10月),口臭と口腔ケア:71-(1331)
※4 柿木保明・山田静子編(2005)「看護で役立つ口腔乾燥と口腔ケア機能低下の予防を目指して」 医歯薬出版:p22

3. 味覚の改善

舌の表面には、味蕾とよばれる味覚を感じる器官があります。
味蕾は水に溶けた味覚物質により刺激をされますので、口腔乾燥があると味を感じにくくなります。また、舌苔があると味蕾への刺激を遮ってしまうため、同じく味を感じにくくなってしまいます。※5
口腔乾燥については原因による適切な対処を行い、人工唾液や口腔保湿剤等によるケアが重要です。舌苔がある場合は、丁寧に取り除きましょう。※6
参考:
※5 齋藤一郎ほか編(2007)『ドライマウスの臨床』齋藤一郎監修,医歯薬出版 p171
※6 中川洋一,日本歯科評論 2015年3月号(Vol.75(3)/通刊第869号)別刷:p53

味覚味蕾は卵形をしていて、上部(先端)の味孔を介して味刺激が入り込みます。
鈴木俊夫他;高齢者のためのトータル口腔ケア 医歯薬出版 2003 P9

4. 誤嚥性肺炎の予防

現在、肺炎は日本人の死因の第3位となっています。※7 また、高齢になるにつれ、肺炎の占める割合が大きくなっています。※8
誤嚥性肺炎は、食物を誤嚥するものと睡眠中に細菌に汚染された唾液を誤嚥するものの2つに分かれます。体力や免疫力が低下した高齢者では、誤嚥したものを吐き出すことができず、肺炎を起こしてしまいます。※9
口腔ケアにより口腔内を清潔に保つことが、誤嚥性肺炎の予防につながります。 参考:
※7 厚生労働省 平成27年人口動態統計(確定数)の概況 主な死因別死亡数の割合
※8 厚生労働省 平成27年人口動態統計(確定数)の概況 性・年齢階級別にみた主な死因の構成割合
※9 日本訪問歯科協会(2005)『口腔ケアらくらく実践法ケアと口腔リハビリで元気になる』 創元社p18-19

誤嚥性肺炎の予防主な死因別死亡数の割合※7

口腔衛生士テキスト口腔衛生学性・年齢階級別にみた主な死因の構成割合※8

5. 口腔機能の維持・回復につながる

口腔には、「咀嚼」、「摂食・嚥下」、「味覚」、「発音・発声」といった生命維持やコミュニケーションにとって重要な機能をもっています。※10
これらの口腔機能が低下すると、食欲低下による低栄養となり、免疫力や体力の低下が引き起こされ、QOLの低下を招く可能性があります。そうなると、他人とのコミュニケーションにも支障をきたしてしまいます。
口腔ケアを行い口腔内を清潔に保ち、必要に応じて摂食・嚥下機能のリハビリ等を行うことが、口腔機能の維持・回復につながります。参考:
※10 荒川浩久ほか編(2009)『口腔衛生士テキスト口腔衛生学-口腔保健統計を含む-』学建書院,p5-8


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